研究者を志すようになって,遺跡の現場に頻繁に通うようになったのは大学の二回生になった頃だった.その時の遺跡現場の発掘担当者は,地理学プロパーの方で,考古学の現場で地理らしい研究を展開する意味をよくご教示いただいた.
その頃,盛んに出てきた言葉は,「マージナル=marginal=周辺や境界」という言説.
当時の考古学(日本)において「環境」を対象化することは,「環境決定論」の一言で,怪訝な顔をされたり,感情論的な批判(感情なので批判に相当しない)にさらされたりもした.
それから,約10年経過した.
考古学(日本という限定付き)が主催する,研究課題,主題などにおいて,環境と関するものがいかに多いことか!(正直,変わり身の早さに唖然する場面の多い)
環境考古学が,地理学の研究史の中で位置づけることが,正確な記述であることは論を待たない(宮本,2013).考古学(あくまで日本)にとって,地理学は「周辺」であったが,周辺から登壇した領域(環境考古学;安田(1980))の魅力を開拓し続けたい.
文献
安田喜憲(1980)『環境考古学事始:日本列島2万年』,NHKブックス,270p.
宮本真二(2013)地理学と環境考古学.動物考古学,30,435-442.