科学の健全な発展:This work was supported by JSPS KAKENHI(2015年8月23日)

先の事件の影響ではないが,標題の様なこと言説に遭遇する機会が多く,職業研究者として再教育の機会が増えて来た.しかし,よりシンプルに思考して,「風通しをよくする」ことによって予防できると考える.世間からは大学や研究機関の閉鎖性が,指摘され,「民間を見習え」みたいな短絡的な議論があるが,企業でもコンプライアンスに意識に欠けた実態は次第に暴露されつつある.

「風通しをよくする」とは,そう難しいことではないだろう.研究者の評価基準のひとつは,やはり論文である.論文を書くためには,そのために勉強して,データをとって,口頭などでも発表するといった日常がとても大切である.そのような結果を,公開しつづけること,である.

曖昧な記憶をたどると,大学が法人化するときにも,大きな反対があったが,それは個人の業績を公開することの行為さえも「学問の自由を脅かす」といった,言説がおどった.80年代に自己形成した小生の世代にとっては,信じられない発言だが,大学はそういう人もいたのである.

もっとシンプルに「風通しをよくすること」=公開であれば,webは大事なツールである.世間からみて,研究機関内の研究者の業績が見えにくい組織は,「風通しをよくない」と評価されても過言ではないだろう.小生にとっては,競争的外部資金を獲得することは,海外の地域調査をおこなっている立場からは,死活問題である.そのために,獲得できるようになって,それ相当の公開にたいする行為を行ってきた自負があるし,そのための資金も獲得してきた.

そういった意味において,研究者自身の再教育が求められるのは,自己に公開のための技術がなければ,資金を使ってでも公開する義務感だと感じている.これが,結果として「科学の健全な発展」につながるのである.具体的には,現在印刷中の小生の拙論の謝辞は以下の記載がある.

 

・・そんなことを,再教育の機会があり,つらつらと考えた...

 

 

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[付記]

なお本研究には,科研費・基盤C「アジア・モンスーン地域における土地開発の歴史的変容とその要因解明」(研究代表者:宮本真二),同・基盤研究C「日本中世における「水辺推移帯」の支配と生業をめぐる環境史的研究」(研究代表者:橋本道範),八雲環境科学振興財団・環境研究助成「瀬戸内臨海平野に記録された災害履歴と遺跡の立地環境の解析」,(研究代表者:宮本真二),文科学省・私立大学戦略的基盤形成支援事業・研究拠点を形成する研究「鉱物の物理化学特性から読み取る地球,惑星の環境変遷史」,(研究代表者:豊田 新),岡山理科大学の研究費の一部を使用した。

 

 

 

 

 

Acknowledgment

This work was supported by JSPS(Japan Society for the Promotion of Science),  KAKENHI.

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