「旅立ち」の季節(Graduation Thesis and Re: Start,2016年2月25日)

岡山理科大学 生物地球学部 の一期生を送り出す季節になりました.

・・と同時に,小生も大学人,4年が経過したということになります.(まだ岡山の街は新鮮ですが.)

 

世間で認識されているほど,いまの大学がヒマではありませんが,4回生の顔をみると感慨深いものがあります.

 

トシか?

 

この学部は,類例が日本ではありません.順調に成長,もしくは育っているという実感が,おべんちゃらではなく,発言を選んでいるわけではありませんが,教員の私にもあります.

 

やはり,「フィールド」はヒトを育てるのだと,実感しています.

 

それは,自然であったり,宇宙であったり,ヒトであったり・・・

 

伝統が蓄積することを,教員ができることは,見守ることだけなのか,とも感じています.そういうときに,師匠のいろいろなコトバが,思い浮かびます・・・(トシ?!)

 

追伸

「旅立ち」松山千春は,世代を感じますね.
57_image_3

大学人の日常!?:アクセス解析したら?:Access Analysis(2016年1月27日)

Facebookに日常の「しょうもない話」を移行したら,更新頻度が落ちる.

 

前職の琵琶湖博物館時代は,学芸員の「実態」を表現しようと思っていたが,大学の「先生」になると,「宮本さん,変わった?!!」みたいな声が聞こえてきたので,ちょっとくだけた話題を,と考えて,表題に.

 

ネットのアクセス解析(どこから小生をみているか?)を,確認することはできますが,多いのが,1)「琵琶湖博物館」,2)「学生さん」,4)「業界(大学)関係」,5)「事務関係」というのは定着している,かなと.国内だと.

 

・・これをどう評価したらよいのかと考えて,ネタにしようか思案中..

でも,上記を主観的に解析すると...

 

1)勤務時間中にOKなん,とか.???.移籍したいの?,みたいな...!?

2)まあまあ..............ゼミ生も?

3)2)と同じ.

4)いろいろ外部資金も入っているので...

 

なんということも,わかるネット時代.

 

いろいろ忙しい年度末です.(オチ

「自然と人間の関係性の科学としての地理学」の2016(2016年1月23日)

今こそ,(今さらながら,愚直に)

 

地理学は「自然と人間との関係性」のサイエンス」

 

・・・・であると.

 

そういう,一年にしたいと,いつのまにかの1月下旬に想う.

 

キーワード:

環境史,環境考古学,ジオ・アーケオロジー,関係性,地理学,フィールド,距離,観察,など

 

 

 

Curator, Research Scientsit or Professor?:博物館学芸員と大学教員(2015年8月22日)

*更新時告知時にアクセス数が多く,いつも聞かれるので...誤植更新に..

 

 ※学生さん,もしくは,これから博物館学芸員(美術館は領域外)を目指す方は,経験に裏づけされた「事実」ですので,レトリック上や認識のうえでの反論は受けつけますが,以下は,事実ですので,ご参考にしてください.

 

1.どうしたら博物館の学芸員になれますか?

・琵琶湖博物館勤務時代は,「どうしたら学芸員になれるのですか?」,という問いであったが,以下のように返答していた.

→「論文を書いて,研究業績を蓄積すること」に尽きる.

→研究職でない博物館はこのような返答ではないと思うが,研究することが認知されている博物館では【真実】である.

→この力は,どの職種でも活かせる.

→琵琶湖博物館は,学芸員=Curatorではなく,Research Scientistとしたことに,志がある.その意味は深い.

→私自身積極的に学芸員を目指したのではなく,研究活動を行った結果としての職業選択であった.

→しかし,考古少年で,学芸員という職種の存在は,小学校から知っていた.

 

2.どうして博物館から大学に移ったのですか?

・研究者として職場を移ることは,プロの世界の常識.

→このように学生時代から思っていたし,恩師,先輩,後輩の「生き方」もそうであった.

→博物館から移動しないという選択肢はなかった.研究の進展具合や,業績の蓄積具合によって職場を移すことは本人のみならず,元の職場にも寄与できる.

・移れない人には,それなり理由がある.

→私の経験をもとにした事実なので,誤解も何もないが,サッカーや野球という,プロの世界と同じ.

→日本のワーク・スタイルの変化という環境変化ももちろんある.

・多様な条件で,恵まれていること.

→少なくとも先の職場では,大学から博物館へと職場を移した人はいない,という事実がこれを端的に表現しているだろう.

→私が15年間在籍した間に大学に移籍した学芸員は約10人なので,日本に博物館としては異例の研究を重視した博物館であったことが理解できよう.

・博物館であろうが,大学であろうが,研究の「らしさ」(様相)の違いはあるが,研究することは職種・職場を変えても同じである.

→したがって,研究を博物館で思考する場合は,その職員の業績評価がより積極的になされることが,経験として今の博物館に強く求められ,それは専門性を高める行為でもある.

→このことは,大学という職業研究者集団の組織でも同じである.

 

3.今後,学芸員(博物館)を目指す人へ

・研究力

→研究条件が博物館が悪いとか,労働条件云々の議論は,研究ができること(業績の蓄積)の上に成立する議論であり,継続的な研究論文が蓄積できる能力が前提である.

→研究は「超個人的行為」(by 川那部浩哉(元 琵琶湖博物館・館長;琵琶湖博物館 名誉学芸員)であるが,他の多種多様な仕事と同じである.

→「超個人的行為」であることは,職業研究者としての精神的な自立が必要である.

・流動的であること

→研究はエキサイティングな世界で,「個人」の評価が問われる世界である.その個人の評価を組織として構築する必要がある.公的機関にありがちな,方便がまかり通っている場面が多いように?というのは,言い過ぎではない.

→このような,公務員としての学芸員というスタイルは,今後大きく変化することが容易に想像され,より専門性と結果が問われる時代になる.

・趣味と博物館

→博物館は研究が必要である.

→研究は趣味ではない.仕事である.仕事である以上結果が求められることは,他の仕事と同じである.大学も同じ.

・学芸員の仕事

→上記した研究以外の仕事は「雑芸員」と称されるように多様だと反論されるが,両者を経験した私にとって,大学も多様であり,今の私には方便にしか聞こえない.プロである世界の緊張感がよい成果をい生むことは,職業研究者という業種に限定的な議論ではないだろう.

 

4.そのほか

上記に関わるこれまでの議論は,

宮本真二(1997)博物館における自然地理学の役割.立命館地理学,9,77-81.

宮本真二(2010)博物館と地理学.地理55(10),12−19.

宮本真二(2011)インタビュー博物館の地理学者10 滋賀県立琵琶湖博物館 宮本真二さん.地理,56(9),古今書院:90-91.

にもある.

環境史の一冊:Environmental History(2015年6月23日)

以下の一冊の書評をまた頂きました(以下,リンク:Laguna (2015) 22: 11-12).

このシリーズで,一番売れているそうです.ありがたいことです.

(ここから)

ネイチャー・アンド・ソサエティ研究 第1巻

自然と人間の環境史

  • 宮本真二・野中健一編.海青社
  • 定価4,104(本体3,800)円
  • A5判/396頁
  • ISBN978-4-86099-271-2(4-86099-271-7)/C3336
  • 刊行:2014年4月

http://www.kaiseisha-press.ne.jp/img/9784860992712preview.pdf

http://www.jaes.shimane-u.ac.jp/laguna/laguna22_11_12.pdf

Geogr. and Archaeology: 地理・考古学の旅(2015年6月22日)

フィールド・ワークを重視した本学科では,金曜から週末は毎週のように多様な分野で実習が繰り返されます.

・・ということで,今年は地理の実習らしく,受講者のなかに鉄道好きの学生さんの提案で,団体割引を駆使した実習を行いました.

しかし,腰が痛くなった一日でした.

 

「地理・考古学実習」でローカル線の旅  2015年06月20日

3回生の実習科目「地理・考古学実習」(地理2回目,人文地理編:宮本先生担当)で,ローカル線に乗って,「備前」,「美作」,「播磨」を1日で旅しました.途中の景観からは,中山間地域や,津山の中心商店街,城下町,佐用町の災害痕跡などを観察したり,フィールドへのアプローチの仕方を学びました.
何に注目するのかも,感性や知識が問われます。
「乗り鉄?!」も満足?な,10時間の鉄道の旅。
長大なレポートが待っています。

【写真 左】1:200,000「地勢図」から旅程を把握します。
【写真 中】1両編成の姫新線は,実習生約20人で「貸し切り」
【写真 右】佐用町では,209年の洪水災害の痕跡を確認しました。

地理・考古学実習:Geography & Archaeology training(2015年5月17日)

岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 地理・考古学コースは,4人の教員で構成されています.「日本」考古学は,人文科学の側面が歴史的に強調されてきた事実があります.しかし,本学は,小生のような境界領域である地理学をバックグラウンドにもつものや,自然科学の分析を武器とする教員など,もちろん,モノを重視する考古学など,英国や米国の考古学の教室を彷彿とさせる領域をカバーしており,日本では唯一です.他にも,発掘には地球物理のスタッフなども参加しています.

 

講義のなかでの考古学と地理学の類似性と相違を強調しますが,せっかく発掘を行うなら,よい解釈を行うためにはお互いに強みが共有できないと,ということです.したがって,環境考古学やジオ・アーケオロジーという領域と指摘することができます.

 

以下の基幹科目の実習もその一環です.3回生対象の集中実習ですが,各教員が多彩な実習をくり広げます.昨年の小生担当部分は,しまなみ海道での実習でしたが,今年は一変して,自然地理&体力勝負の実習としました.やはり,フィールド・サイエンスは,フィールドでの発見が,学びにつながります.

以下,学科・本学のトップページデータです.

(ここから)

30℃をこえる「夏」で、無風の旭川河床で表層堆積物の調査方法を学ぶ実習を行いました。
遺跡の発掘調査でも堆積状況を正確に把握することは現代考古学において重要です。そこで、現生の教材として大学近辺の旭川河床でトレンチ掘削実習を5月1日と2日の連日実施しました。
いくつか掘削したトレンチの堆積層・相の解釈について理解する必要があります。
筋肉痛と手のマメも?(地理学研究室 宮本)

【写真左】掘削前は笑顔が見えたが・・・・????
【写真中】掘削後,トレンチに「潜って」観察・記載中
【写真右】「はぎとり」方法についても学びました

Dedicated to ??:謹呈開始(2015年5月6日)

約一年前に刊行できた編著本(上記).

その後,昨年度から猛烈に多忙になって,謹呈できなかった方々へ,謹呈し始めました...(遅れてスイマセン.といって,お金を取れる職業研究者は買って下さいね...)

 評判は良好.

■販売・営業の方から指摘されるのは,「置く場所が特定できない」というクレーム.

→境界領域で「勝負」しているので,歴史か地理か,そのまたは???,という??

 

■研究者からの批判

→ない.というよりも,地理学も,そのほかも類例はない,ですね.

 

■してやったり.

→小生は地理学だが,地理学者との共同研究はない.

→地理学以外では「飽き足らない人々」が,逆説的に地理愛を語るのが,この一冊や,シリーズの価値だと.

 

 

宮本真二・野中健一(編著)(2014)『自然と人間の環境史』.海青社.

宮本真二・野中健一(編著)(2014)『自然と人間の環境史』.海青社.

Ethiopia/エチオピア出張(2015年3月8日)

facebookより頻度が落ちているが,こちらはアクセスの傾向が読みやすい.

 

短期間ながら,科研の共同研究で,増田 研さん(長崎大学:社会人類学)とエチオピア南部に滞在した.

昨日帰国したばかりなので,まだ,頭は下記の写真のように「The AFRICA」で,整理にはほど遠い.

 

乾燥地域のアフリカを訪問するのは,ナミビア調査(2008年)以来だが,やはり乾燥地域における生活は過酷であることを実感し,再認識した.そのなかでも,さまざまなアイデアが交差するのが,やはりフィールド・ワークの醍醐味だ.

 

宿では,関連する論文や本を斜め読みしたが,やはり現地で読む理解度は格別である.逆説的には,普段勉強していない?!という反動かもしれないが・・・・

 

数日は,時差も含めて,アフリカの熱にうなされる日々が続く.

 

バンナ