I love reading:私の活字中毒と、3000円の壁と(2014年2月16日)

「岡山理科大学 図書館報 No. 69」2014年4月1日 発行(予定) を 改変

「私の活字中毒と、3000円の壁と」

岡山理科大学 生物地球学部 生物地球学科 地理学研究室
准教授 宮本 真二

   私は重度の「活字中毒」です。つまり、いつも手の届く範囲に活字がないと落ち着かない人間です。
 朝目覚めたら新聞。電車やバスの時は文庫本。昼食時には研究室で新聞が。夕食時にも新聞が、さらに枕元には「本の山」があります。また、フィールド・ワークで海外に出るときも、限られた容量の中、いつも選書に悩みます(写真)。
 しかし、この中毒は小さな時からではなく、高校生まではほとんど本に接することはない人生でした。そのきっかけとなったのは、高校生の時にであった一冊でした。その一冊を紹介してもいいのですが、本とのであいのトライ・アンド・エラーも本の魅力だと思いますので,私の中毒罹患以後の経過をお話します.
 大学生になった私は,大学に寄りつかない学生でした。本学のように「理系大学ではありえない」とお叱りでしょうが、当時の文学部でしたので、アルバイト以外の日々は、下宿や図書館で活字におぼれた日々でした。
 そのような活字におぼれていた大学生の時、あるきっかけで研究する人生を志すようになりましたが、当時の壁は3000円でした。学問の深さに触れることによって、より深く知りたいと思うようになるのが普通だとおもいます。しかし、図書館の蔵書は自分で線を引きながら読み込むことはできません。どうしても高価な3000円以上の専門書は、貧乏学生だった私の生活費を圧迫するため,勇気が必要でした。当時の講義風景は、私の記憶にはありませんが、書店でずいぶん悩みながら,3000円以上の専門書を購入した時の情景は今も鮮明です。
 ただし、「3000円の壁」を越えると、次の世界にであうことができます。
 このように模範とならない学生時代をおくった私ですが、活字中毒となって後悔したことは一度もない、ということこそが本の魅力だとおもいます。
 教壇になぜか立つ生き方を選択した今、「3000円の壁」を突破できるような魅力ある講義・実習が行えているかどうか自問自答の日々です.