遺跡報道と、ねつ造問題(連載ボツ原稿)

以下の単文は、職場の新聞連載用に出した原稿ですが、「ふさわしくない」という内部の担当者の判断でボツになったものです(別になんとも思っていないのですが、耳の痛いことこと耳をかたむける必要はあるでしょう)。別原稿が海外調査中に掲載されましたが、出てきません。・・・・・

あの毎日新聞によってスクープされた日の情景は今でも鮮明に覚えています。このような事件に展開したのは、1)許認可行政、2)閉鎖的体質、なによりも、3)日本考古学の研究レベルが重要な要素だと思います。

「周辺」に位置する私にとっても大きな出来事でしたが、あれからの10年の変化を評価する時期になってきていると感じています。

 

(ここから)

遺跡の報道と、ねつ造問題

宮本 真二

 

小さな時から考古学や遺跡大好き少年でしたが、繰り返される遺跡の報道に最近、違和感を感じています。

それは、「最古や最大、大発見」といった報道です。たとえば、大規模な集落遺跡や、最古と考えられる土器の発見といった報道で、その発見は歴史ロマンをかき立てられ、学術的に貴重であることは理解でき、驚きであったとしても、ほとんどが一過性にすぎない話題だと思います。

もちろん、多くの人々が興味をもてる話題性がある発見について報道する役目があることは理解できますが、そもそも、遺跡の調査で、すぐに大発見と評価できるのでしょうか?。研究の大半の行為は、先行研究の論文を読み込んだり、関連した資料を探ることによって、「新しさ」を見出す行為です。このように、繰り返される「大発見」のニュースに接するたびに、私は報道に踊らされた遺跡と、報道から抜け落ちた遺跡との格差に対して、違和感を感じずにはおられないのです。

たとえば、古墳から見つかった豪華な副葬品の発見報道では、天下国家論のロマンあふれる研究者のコメントであふれ、当時の社会構造が語られますが、現代社会に生きる私たちにとって、生活レベルでの問題関心から話題にできる報道は限りなく限定的だと言えます。つまり、遺跡を現在と切り離された過去の存在として扱われることに対しての違和感でもあります。

また、約10年前に発覚した「旧石器遺跡ねつ造事件」と報道との関係も考えずにはいられません。このねつ造問題が形成された原因のひとつとして、私たち報道の受け手ばかりでなく、報道する側も「最古」という言説に躍らされ、地道な研究のプロセスをなおざりにした事実があったはずです。ねつ造を企てた個人の問題よりも、報道を通じて、即効性ある話題づくりに踊らされてきた日本の考古学を取り巻く体制にこそ問題があったのだと思います。しかし、それから十年たっても、いまだ同じように繰り替えされる報道に強い危機感さえ覚えます。

遺跡を通じて「歴史に学ぶ」ためにも、一過性の話題に惑わされず、地道な研究に対して焦点をあてた「骨太な報道」が、今、求められていると思います。

(琵琶湖博物館・主任学芸員)

 

外部資金獲得の季節

研究者にとっての評価の基準の一つである「外部資金」獲得のための季節が到来し,10月〜11月は,書類と格闘する時期.

小生はまだ継続中のものいくつかあるが,次を考えないといけない時期でもあり,その時をイメージすると憂鬱になる.

私たちの「世代」にとっては,信じることができないが,研究業績さえも個人情報として公開に反対する勢力があったと,大学改革時には聞いた.誰にとっての研究かを考えたら,公開しない研究など????と考えてしまう,研究者の業績評価を公開しないと「はなしになりまへん」と思う.

ただし,分野の多様さを甘えにとって,いかにも紀要的文章を,「原著論文」として主張する人は・・・・であるが,そういう人の評価はえてして・・・というのも事実だろう.

そういった意味に置いて,研究はシビアだし,刺激的でもある.

写真は,7月のバンコクの宿の横にあった食堂の,「かけごはん」.たぶん,200円くらいだったと.

雑誌掲載(雑誌地理)

ブータンにでかける前に、以下の雑誌で活動が紹介されました。

最新号ではないのですが・・・。

 

雑誌「地理」56(9)、2011。「インタビュー博物館の地理学者10」、90頁。

http://www.kokon.co.jp/chiri.htm

いつの間にか、今年度も半分で、年賀状販売には驚いています。

 

【下の写真】は、上とは全く関係ないインドの定宿。Hill Top Lodge, Gauhati, Assam.

いつもの部屋でなく、クーラー付きの部屋(周囲からは風が入り込まない1F)で、轟音とともに稼働させていましたら、スーツケースに外からアリが入ってきて、入らないようにしています。ベットの上にもアリさんが・・・という状態でした。

先日までのブータンでは、ノミの全身被害が・・・